万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


言(こと)のみを後(のち)も逢はむとねもころにわれを頼(たの)めて逢はざらむかも

巻四(七四〇)
--------------------------------------------
言葉だけで「後も逢いましょう」とねんごろに私をその気にさせて、きっと逢ってはくださらないのでしょうね。
--------------------------------------------

この歌も大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)が詠んだ巻四(七三七) と 巻四(七三八)の歌に、大伴宿禰家持(おほともすくねやかもち)が答えた二首の返歌のうちの一首。
巻四(七三八)の歌で大嬢が「この世を生きるのは苦しいことです。恋の苦しさに堪えられずに死んでしまいそうに思います。」と家持との恋に悩む心情を訴えたように、家持も家持で大嬢との恋に悩みを抱えていたのでしょう。

「後も逢いましょうと言ってねんごろに私をその気にさせて、君はきっと逢ってはくださらないのでしょうね。」との、不安な思いを伝えています。

この時代、男女の逢瀬は男が人目のつかない夜に女の家に通うことで行われるのが普通でした。
ふたりの関係が上手く行くとそのまま婚姻となりましたが、しかし男が通うのを止めてしまうと恋が終わっていくという淡白さもありました。
逆に、女の方が男の来訪を断って会わないことで恋が終わる場合も多かったようです。

だからこそ、家持も大嬢がほんとうに今後も逢ってくれるのか不安で仕方がなかったのでしょうね。
このように恋とはお互いの気持ちを確かめ合った後もまだ、相手が心変りしてしまったのではないかとの不安に悩まされたりするものなのでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販