万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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夜(よ)のほどろわが出(い)でて来(く)れば吾妹子(わぎもこ)が思(おも)へりしくし面影(おもかげ)に見ゆ
巻四(七五四)
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夜の明け方に家を出て来るとあなたの物思いに沈んでいた様子が面影に現れてきます。
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この歌も巻四(七四一)の歌などと同じく、大伴宿禰家持(おほともすくねやかもち)が大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った十五首の恋歌うちのひとつ。
この時代、男女の逢瀬は秘め事として人目に付かないように夜に男が女の家に通い、夜が明ける前に帰ってゆくのが常でした。
この歌でもそんな逢瀬の後の「夜の明け方に家を出て来るとあなたの物思いに沈んでいた様子が面影に現れてきます。」と、帰り際の大嬢の寂しげな様子を思い出して詠んだ一首です。
つまり、この「家」は大嬢の家なわけですね。
逢えない時間が続けば切なく、逢えたら逢えたでその後の別れが苦しくてつらい…
それほどまでに家持も大嬢もお互いを恋しく思っていたのでしょうね。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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