万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴の田村家(たむらのいへ)の大嬢(おほをとめ)の妹(いろと)坂上大嬢に贈れる歌四首

外(よそ)にゐて恋ふるは苦し吾妹子(わぎもこ)を継(つ)ぎて相見む事計(ことはかり)せよ

巻四(七五六)
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外にいて恋しく思うのは辛いことです。あなたを見つづけられるように計画してくださいな。
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この歌は大伴田村大嬢(おほとものたむらのおほをとめ)が異母妹の大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った四首の歌のうちの一首。
田村大嬢と坂上大嬢はともに大伴宿禰宿奈麿(おほとものすくねすくなまろ)の娘ですが、宿奈麿は田村の地に住み田村大嬢もその地で暮らしていました。
坂上大嬢は坂上郎女の娘で母親が坂上の地に住んでいたことからこう呼ばれており、この時期もまだ母の実家に住んでいたようです。
(この時代は夫婦は別の家に暮らしており夫が妻の家に通う嬬問い婚が普通でした。)
坂上郎女は田村大嬢の母が亡くなった後に宿奈麿と婚姻したものと思われます。

そんな異母妹の坂上大嬢に対して田村大嬢が「外にいて恋しく思うのは辛いことです。あなたを見つづけられるように計画してくださいな。」と、妹の来訪を望んでいる一首ですね。
異母姉妹とはいえ年齢も離れていたこともあって田村大嬢には坂上大嬢が妹として可愛くて仕方がなかったのかも知れませんね。
そんな妹を思う姉の愛情が感じられる相聞歌となっています。


奈良市法華寺町にある法華寺。
田村大嬢の家あった田村の里は一説によると法華寺の南あたりにあったとも。



法華寺本堂。



奈良県立情報図書館。
田村の里は奈良県立情報図書館の北、奈良市の四条二房東にあった藤原仲麿の邸宅(田村第)のあたりとの説も。



奈良市の四条二房東。
このあたりから藤原仲麿の邸宅(田村第)跡と思われる遺跡が発掘されました。
田村大嬢の住んでいるいた田村の里もこの近くにあったのかも。


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万葉集巻四


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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