万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の竹田庄(たけだのたどころ)より女子(むすめ)の大嬢(おほをとめ)に贈れる歌二首
うち渡(わた)す竹田(たけだ)の原に鳴く鶴(たづ)の間無(まな)く時(とき)無しわが恋ふらくは
巻四(七六〇)
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広々とした竹田の原に鳴く鶴の声のように絶えることはありません。わたしがあなたを恋しく思う心は…
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この歌は竹田庄(たけだのたどころ)を訪れていた大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が娘の大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った二首のうちの一首。
「竹田庄(たけだのたどころ)」は奈良県橿原市にある耳成山の北東の地域。
この地に大伴家の領地でもあったのでしょうか。
坂上郎女の邸宅のある佐保と竹田とはずいぶんな距離がありますが「広々とした竹田の原に鳴く鶴の声のように絶えることはありません。わたしがあなたを恋しく思う心は…」と、遠く佐保の邸宅に残してきた大嬢を思う心を竹田の原に鳴く鶴の声に譬えて詠んだ娘を気遣う母親の愛情がよく表れている一首ですよね。
奈良県橿原市の東竹田にある式内竹田神社にこの歌の歌碑があります。
歌碑の解説。
式内竹田神社。
式内竹田神社の南東、竹田川に架かる竹田の原橋。
東竹田集会所のすぐ横。
竹田の原橋の欄干にもこの歌が刻まれています。
竹田の原橋の欄干に刻まれている歌碑。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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