万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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今しらす久邇(くに)の京(みやこ)に妹に逢はず久しくなりぬ行きてはや見な
巻四(七六八)
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新たな恭仁の京に居てあなたに逢わずにもうずいぶんになります。すぐにでも行って逢いたいものです。
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この歌も新しき都である久邇京(くにのみやこ)に居る大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、奈良の平城京に残っていた大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)を思って詠んだ二首のうちの一首。
「新たな恭仁の京に居てあなたに逢わずにもうずいぶんになります。すぐにでも行って逢いたいものです。」と、聖武天皇の宣言した遷都にしたがって久邇京(恭仁京)に来てからずいぶん長い時間を大嬢と逢えずにいる寂しさを詠っています。
遷都の宣言がなされたとはいえ、新たに京を造るとなると市の移築などの造営に時間もかかり簡単には平城京の人々が移り住むというわけにはいかなかったようですね。
そんな引き裂かれたような離れ離れの状況で、大嬢に逢いたいとの家持の気持ちはますますつのって行ったのでしょう。
山城国分寺跡(恭仁京跡)。
恭仁京は遷都後五年ほどでふたたび平城京に都が戻された短い都でしたが、大極殿跡などの都の中心部はその後、山城国分寺として利用されました。
礎石などが残る山城国分寺跡。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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