万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰家持の紀女郎に贈れる歌一首

うづら鳴く故(ふ)りにし郷(さと)ゆ思へども何(なに)そも妹に逢ふ縁(よし)も無き

巻四(七七五)
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今は鶉の鳴く里となってしまった旧都にいるあなたを恋しく思っているのに、どうしてあなたに逢う術がないのでしょう。
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この歌は新都の久邇京(くにのみやこ)にいた大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、奈良の平城京に残っていた紀女郎(きのいらつめ)に贈った相聞歌。
紀女郎は安貴王(あきのおほきみ)の妻で、家持とは頻繁に歌を交し合う親しい間柄にあったようです。

「鶉(うづら)」はしばしば荒廃した景に用いられる鳥で、「うづら鳴く故りにし郷」とはこの場合は旧都の平城京を指します。
そんな「鶉の鳴くような里となった旧都にいるあなたを恋しく思っているのに、どうして逢う術がないのでしょう。」との、紀女郎を愛しく思う家持の心のこもった一首ですよね。
ただ、恋歌のような形はとっていますが、紀女郎はすでに結婚しており家持よりもかなり年上の女性であり、この歌もあくまで戯れの恋歌として挨拶代わりに贈ったもののようですね。

この手の戯れの恋歌は現代歌人でも男女の友人同士でよく贈りあったりしますが、家持もこんなふうに紀女郎やあるいは叔母の坂上郎女などととの歌のやり取りで実際の恋歌での駆け引きを学んでいったのかも知れませんね。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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