万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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板葺(いたぶき)の黒木(くろき)の屋根は山近し明日(あすのひ)取りて持ち参り来(こ)む
巻四(七七九)
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板葺になさる黒木の屋根についてはお任せください。山が近いので明日にでも取って来てお持ちいたします。
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この歌も久邇京(くにのみやこ)にいる大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、平城京の紀女郎(きのいらつめ)に贈った五首の相聞歌のうちの一首。
「板葺になさる黒木の屋根についてはお任せください。山が近いので明日にでも取って来てお持ちいたします。」とは、紀女郎から板葺きの屋根に使う木が欲しいと頼まれたのでしょうか。
しかし、これから久邇京(くにのみやこ)への遷都が進むだろう旧都の平城京にいまさら屋根の材料を届けるというのも変な気もしますし、あるいはこれは家持が久邇京での自分のの様子を伝えるための言葉だったのかも知れませんね。
だとするとこの頃、家持は久邇京(恭仁京)の造営で山の木を伐採し集める人々を束ねるような任についていたのかも。
ただ、板葺きの黒木の件は別として、「明日にでも取って来てお持ちいたします。」と詠っているのは、実際に明日、平城京の紀女郎を尋ねて行きますとの挨拶歌としての意味が込められているようなそんな気がします。
恭仁京跡から見た周辺の山々。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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