万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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紀女郎の裹(つつ)める物を友に贈れる歌一首 女郎は、名を小鹿といへり
風高く辺(へ)には吹けども妹がため袖(そで)さへ濡(ぬ)れて刈れる玉藻(たまも)そ
巻四(七八二)
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風が空高くから海辺に吹いていたけれどあなたのために袖を濡らして刈ってきた玉藻ですよ。
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この歌は紀女郎(きのいらつめ)が女性の友人に海藻の贈り物をした時に添えた一首。
「裹(つつ)める物」とはいわゆる「苞(つと)」のことで、この時代物を包んで贈るのは中に心を込める意味がありました。
この歌でも、「風が空高く海辺に吹いていたけれどあなたのために袖を濡らして刈ってきた玉藻ですよ。」と、相手のために特別に心を込めた贈り物であることを伝えていますね。
まあ、特別深い意味のある歌ではないですが、このように短歌は贈り物をする時の手紙代わりに添えられることもよくあったようですね。
友人同士のたわいないやり取りの歌であるからこそ、短歌が万葉の時代の人々の生活に深く結びついていたことを伝えてくれる貴重な一首のようにも思います。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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