万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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春なれば宜(うべ)も咲きたる梅の花君を思ふと夜眠(よい)も寝(ね)なくに
壱岐守板氏安麿(いきのかみはんしやすまろ)
巻五(八三一)
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春になってなるほどよく咲いた梅の花よ。君を思うと夜も眠れないよ。
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この歌も大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
この「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌は三十二人が八人ずつ四つの集団に分かれて詠んだもので、この歌は第三集団の最初の一首。
板氏安麿(はんしやすまろ)は、板持安麿(いたもちのやすまろ)のことでしょうか。
そんな板氏安麿が詠んだ「春になってなるほどよく咲いた梅の花よ。君を思うと夜も眠れないよ。」との、梅の花への呼びかけが素敵な一首ですよね。
四句目の「君」は梅の花を擬人化したものですがどことなく想い人への恋歌のようにも読めて、この歌から始まる第三集団の歌が第一集団、第二集団の歌とはまた違った自由な広がりを見せてくれるようなそんな予感も感じさせてくれます。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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