万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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毎年(としのは)に春の来(きた)らばかくしこそ梅を插頭(かざ)して楽しく飲まめ
大令史野氏宿奈麿(だいりやうしやしのすくなまろ)
巻五(八三三)
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年ごとに春がめぐり来ればこのように梅をかざして楽しく酒を飲もう。
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この歌も大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
「大令史(だいりやうし)」はいまでいう司法書記官のような職。
野氏宿奈麿(やしのすくなまろ)は、小野淑奈麿(をののすくなまろ)のことでしょうか。
「年ごとに春がめぐり来ればこのように梅をかざして楽しく酒を飲もう。」と、今年だけでなくこれからは春が来れば年ごとに梅を愛でて楽しもうとの、一座の人々への呼びかけの一首となっています。
まあ、実際のところはこのような華やかな宴の場を生み出した筑紫歌壇も、この後に旅人や憶良が都へ帰ってしまってからは急速に衰退してしまうことになるのですが…
それはまた別の話ですね。
この歌もまた、この宴に集まった人々の心からの楽しさが伝わってくるような一首となっています。
毎年に春の来らばかくしこそ梅を插頭して楽しく飲まめ(春日大社神苑万葉植物園にある万葉の時代解説展示)。
春日大社神苑万葉植物園にある万葉の時代解説展示。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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