万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
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(解説:黒路よしひろ)

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大伴君熊凝(おほとものきみくまこり)の歌二首 大典麻田陽春(だいてんあさだのやす)の作

国遠き道の長手(ながて)をおほほしく今日や過ぎなむ言問(ことどひ)もなく

巻五(八八四)
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故郷から遠い長い道中に心もいぶせく今日死んでしまうのだろうか、父母に別れを言うこともなく
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この歌は麻田陽春(あさだのやす)が大伴君熊凝(おほとものきみくまこり)のことを詠った二首の歌のひとつ。
麻田陽春(あさだのやす)は大宰府の官人で、「大典(だいてん)」は書記官の意味。

大伴君熊凝は肥後の国出身の若い官人でしたが、相撲使い(七夕の相撲の節会に天覧の力士を各地から連れて上京する使者)の国司の従者として奈良の都へ向かう途中病になり、安芸国佐伯郡の高庭の宿駅で亡くなってしまったようです。

そんな大伴君熊凝の死に対して麻田陽春が悲しんで詠んだ歌ですが、ここでは自らが大伴君熊凝になり切ってその無念の思いを詠った形を取っています。
大伴君熊凝は亡くなった時、まだ十八歳の若者であったといいますが「故郷から遠い長い道中に心もいぶせく今日死んでしまうのだろうか、父母に別れを言うこともなく」と、故郷の父母に別れも言えずに死んでしまう無念を、大伴君熊凝の立場に立って詠ったなんとも哀しい一首ですよね。

麻田陽春は大宰府で大伴君熊凝と仲の良い関係だったのでしょうか。
故郷から遠く離れた旅路で亡くならねばならなかった熊凝の無念は、陽春にとってはまさに我が事のように感じられたのではないでしょうか。


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万葉集巻五


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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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