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万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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秋八月二十日に、右大臣橘(の)家に宴せる歌四首

長門(ながと)なる沖つ借島(かりしま)奥まへてわが思ふ君は千歳(ちとせ)にもがも

右の一首は、長門守巨曾部対馬(こそべのつしまの)朝臣

巻六(一〇二四)
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長門の沖合の借島が遠いように心の奥深くお慕いするあなたは千歳も無事であってほしいものです
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この歌は天平十年八月二十日に、右大臣橘諸兄(たちばなのもろえ)の邸宅での宴のときに詠まれた歌のうちのひとつです。
左注によると作者は長門守の巨曾部対馬(こそべのつしま)のようですね。

橘諸兄はもとは葛城王(かづらきのおほきみ)という皇族でしたが、後に臣下に下って橘姓を賜り、この天平十年の一月十三日に右大臣(後には左大臣まで昇進)となりました。
そんな橘諸兄の家での宴に参加した巨曾部対馬が詠んだ歌ですが「長門の沖合の借島が遠いように心の奥深くお慕いするあなたは千歳も無事であってほしいものです」と、自身の任地である長門の借島を序詞として橘諸兄の長寿と繁栄を願った一首となっています。

「長門(ながと)なる沖つ借島(かりしま)」は現在では所在不明ですが、山口県下関あたりにある沖合の島なのでしょう。
そんな借島が沖合の奥にあるように心の奥深くあなたを慕っていますとの、自身の任地を詠み込んだ序詞がなんとも魅力的な宴席歌ですよね。


橘諸兄ゆかりの京都府綴喜郡井手町の六角井戸のあたり。
この地はかつて橘氏の別荘の玉井頓宮があった場所といわれ、この巻六:一〇二四の宴が行われたのもこの別邸だったようです。



六角井戸の解説。
六角井戸は玉井頓宮の名残りとも言われており、この地に別邸を構えた橘諸兄は、井手左大臣とも呼ばれたようです。


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万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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