万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大弐小野老朝臣(だいにをののおゆのあそみ)の歌一首
時つ風吹くべくなりぬ香椎潟潮干(かしひかたしほひ)の浦に玉藻刈りてな
巻六(九五八)
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満潮時の風が吹きそうだ。香椎潟の潮干の浦ではやく玉藻を刈りたいなあ
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この歌も先の巻六(九五七)の歌と同じく、大宰府の官人たちが香椎宮(かしひのみや)に詣でた帰り道に馬を香椎の浦に留めてそれぞれに詠んだ歌のうちのひとつです。
作者は大弐(だいに)の小野老(をののおゆ)。
(ただし、大弐は後の官名でこの時点の小野老はまだ少弐だったようです。)
そんな小野老の詠んだ一首ですが「満潮時の風が吹きそうだ。香椎潟の潮干の浦ではやく玉藻を刈りたいなあ」と、大伴旅人(おほとものたびと)の詠んだ先の巻六(九五七)の歌を受けて、香椎潟の玉藻をはやく刈りたいとの逸る思いを詠っています。
「時つ風」は「吹く」にかかる枕詞。
「玉藻(たまも)」は藻の美称ですが、文字通り玉(たから)の藻と詠うことで香椎の海を褒め称える土地讃めの意味もあったのでしょう。
まあ、大伴旅人たちの時代にもなると土地讃めの信仰も徐々に薄れて形骸化していた部分もあったようですが、信仰の形式化が風流へと変化してゆく時代の面白さがこれらの歌にも感じられるような気がします。
小野老については藤原氏寄りの人物だったようで大宰府への派遣も大伴旅人の監視を兼ねていたような風もあるのですが、大伴旅人と気の合う部分もあったのかこれらの歌を読む限りでは大宰府に置いての旅人の次官としてなかなかによい関係を築いていたようにも感じられますよね。
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万葉集巻六
万葉集書籍紹介(参考書籍)
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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