万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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山を詠める

鳴神(なるかみ)の音のみ聞きし巻向(まきむく)の檜原(ひばら)の山を今日見つるかも

巻七(一〇九二)
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雷のように耳にだけ聞いていた巻向の檜原の山を今日は見ることが出来たよ
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この歌は万葉集巻七の「山を詠める」に分類された歌のうちのひとつ。
作者は不明ですが、巻七(一〇九四)の歌の後に付けられた左注によると、この巻七(一〇九二)の歌から巻七(一〇九四)までの三首は柿本朝臣人麿歌集に収録されていた歌とのことです。

「柿本人麿歌集」は現存していないための詳細は不明ですが、その名の通り柿本人麿によって編まれた歌集で人麿自身の歌や朝廷の人々の歌などを中心に収録されていたようです。
ですので、この歌も柿本人麿自身の作か、あるいは人麿が収集した伝誦歌のひとつだったのでしょうね。

歌の内容は「雷のように耳にだけ聞いていた巻向の檜原の山を今日は見ることが出来たよ」と、噂にのみ聞いていた巻向山を実際に見ることの出来た喜びを詠った一首となっています。
「鳴神(なるかみ)」は雷のことで、「鳴神の」はこの歌の場合は「音」にかかる枕詞として使用されています。
「巻向(まきむく)の檜原(ひばら)の山」は、現在の奈良県桜井市にある檜原神社あたりの山のことでしょうか。

巻向周辺も現在では杉の植林が増えていますが、万葉の時代には「三輪の檜原」や「泊瀬の檜原」などと並んで檜の原が広がっていたようですね。
そんな巻向の檜原の山を讃えて詠んだ土地讃めの一首となっています。


奈良県桜井市の檜原神社側の柿畑の中にあるこの歌の歌碑。



添碑。



檜原神社駐車場の側にこのような万葉歌碑の案内図があるので、また現地での参考にしてみてください。



奈良県桜井市の檜原(ひばら)神社。
三つ鳥居が特徴的な神社です。



檜原神社側の檜原。


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万葉集巻七の他の歌はこちらから。
万葉集巻七


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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