万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
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(解説:黒路よしひろ)

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蘿(こけ)を詠める

み吉野の青根が峰(たけ)の蘿蓆誰(こけむしろたれ)か織りけむ経緯(たてぬき)無しに

巻七(一一二〇)
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み吉野の青根が峰の蓆のような苔は誰が編んだのだろう、経糸も横糸もないのに
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この歌は万葉集巻七の「蘿(こけ)を詠める」と題された一首です。
作者は不明。

「青根が峰(たけ)」は、奈良県吉野町の三船山の南にある峰のこと。
そんな「み吉野の青根が峰の蓆のような苔は誰が編んだのだろう、経糸も横糸もないのに」と、青根が峰の苔の美しさを讃えた一首となっています。
「蓆(むしろ)」は竹などで編んだ敷物のことですが、密集する苔を蓆に譬えて詠んだわけですね。

もちろん作者も自然が生み出した苔であることは分かっているわけですが、「誰が編んだのだろう」との表現からはどこか神聖な吉野の神々の存在を意識しているようで、この歌もまたそんな神聖な青根が峰を讃えた土地讃めの一首なのでしょう。


奈良県吉野町宮滝(吉野資料館前)から見た青根が峰。
この位置からだとわずかにしか見えませんね^^;



吉野資料館前にある吉野周辺の解説図。
象山の奥にわずかに見えるのが青根が峰だそうです。



蘿蓆(こけむしろ)。
この歌に詠われている蘿(こけ)は広くコケ類のこと。
写真は春日大社神苑の万葉植物園の苔。



春日大社神苑(奈良県奈良市)の万葉植物園にあるこの歌の歌碑パネル。


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万葉集巻七


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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