万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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草を詠める

妹(いも)らがりわが通(かよ)ひ路(ぢ)の細竹薄(しのすすき)われし通へば靡(なび)け細竹原(しのはら)

巻七(一一二一)
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愛しい子のもとへ私が通って行く道に茂る細竹や薄よ。私が通るときには靡いて伏せよ細竹の原よ
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この歌は万葉集巻七の「草を詠める」と題された一首で作者は不明。
「細竹(しの)」は字の通りメダケなどの細い竹のこと。

歌の内容は「愛しい子のもとへ私が通って行く道に茂る細竹や薄よ。私が通るときには靡いて伏せよ細竹の原よ」と、妻のもとへ通う男が道中にある細竹や薄に靡いて道を開けよと詠い掛けた一首となっています。
万葉の時代の結婚は、男が妻の住む家に通う「妻問い婚(通い婚)」が一般的な形でした。
それゆえに妻のもとへ通う男によるこのような歌が生まれたわけですね。

作者名が伝わっていないのは、この歌が広く妻問う男たちの間で愛唱された民謡的な歌だったからだと思われますが、「靡け細竹原」の表現には柿本人麿の巻二(一三一)などに通じる強い呪術性も感じられるのが興味深いところです。
後に「靡けこの山」と、山をも靡かせようとした人麿の歌の呪術性は、この巻七(一一二一)の歌などが持つ民謡歌の呪術性をもとにして生まれたものだったのかも知れませんね。


奈良県橿原市万葉の森(香具山の東)のメダケ。
万葉呼名「しぬ(しの)」。



靡け細竹原。


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万葉集巻七


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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