万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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背(せ)の山に直(ただ)に向へる妹(いも)の山言(こと)許やも打橋(うちはし)渡す

巻七(一一九三)
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背の山真向かいに立つ妹山は背の山の頼みを聞いたのか仮橋を渡しているよ。
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この歌は和歌山県かつらぎ町にある妹背(いもせ)の山を詠んだ一首。
「打橋(うちはし)」は板を渡した仮の橋のこと。

「背(せ)の山」と「妹(いも)の山」は向かい合っており、万葉の時代から背山が男の山で妹山が女の山に譬えられています。
そんな背の山の口説き言葉を受け入れて妹の山は背の山まで仮の橋を架けてお互いに行き来できるようになっているよ、との意味の一首ですね。
おそらくは紀の国の人々や、あるいは旅する旅人たちが自身の妻や恋人のことを思い出しながらこの歌を口ずさんで妹背の山を眺めたのでしょう。

現在の背の山と妹の山は紀の川を挟んで立っており、とても万葉時代の人々が板の仮の橋を架けられるような距離には思えないのですが、これは万葉時代には妹山が現在の妹山ではなく背山の二つの嶺の一方を妹山と呼んでいたからのようです。


和歌山県かつらぎ町にある妹背の山。
現在の妹山は紀の川を挟んで背山と向かい合って立っています。
背山と妹山の間の紀の川の中には、この歌の歌碑のある船岡山もあります。



船岡山にあるこの歌の歌碑。



船岡山は現在の妹山の目の前の紀川の中にあります。
(橋の西側500メートルほどのところに無料駐車場もあります。)



こんな丈夫そうな橋が架けられているので自由に渡れます。
橋を渡ってすぐ右横にこの歌の歌碑があります。



現在の妹山(南側)から見た背山。
万葉時代には妹山は現在の場所ではなく、この背山の二つの嶺の右側を背山、左側を妹山と呼んでいたようですね。
これぐらいの距離なら仮の板橋を架けることも出来たでしょう。


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万葉集巻七


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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