万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)柳の歌二首

わが背子が見らむ佐保道(さほぢ)の青柳(あをやぎ)を手折(たを)りてだにも見むよしもがも

巻八(一四三二)
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わたしの愛しい人が見ているだろう佐保道の青柳を手折った枝だけでも見る術が欲しいものです
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ二首の柳の歌のうちのひとつ。
大伴坂上郎女は大伴旅人(おほとものたびと)の異母妹で、大伴家持(おほとものやかもち)の叔母。
「佐保(さほ)」は奈良の京の貴族の邸宅があった場所で、大伴家の邸宅もここにあったといわれています。

歌の内容は「わたしの愛しい人が見ているだろう佐保道の青柳を手折った枝だけでも見る術が欲しいものです」と、今ごろ愛しい人が見ているだろう佐保の柳を手折った枝だけでも見たいとの思いが詠われています。
ほんとうは一緒に見たいけれどそれが叶わないならせめて愛しい人の見ている柳の枝だけでも…との切ない恋心がよく表れた一首ですよね。

まあ、この歌は実際の恋を詠った歌ではなく、佐保での宴の席で詠まれた戯れの恋歌だったようですが。
そんな戯れの歌の中にもこれだけの恋心を表現できるのは、さすが恋の経験の豊富な坂上郎女といったところでしょうか。


青柳。



青柳は春先の柳のこと。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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