万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰村上(むらかみ)の梅の歌二首

含(ふふ)めりと言ひし梅が枝今朝(えけさ)降りし沫雪(あわゆき)にあひて咲きにけむかも

巻八(一四三六)
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蕾が膨らみ始めたとあの人が言っていた梅の枝は今朝降った沫雪と競って花を咲かせただろうかなあ
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この歌は大伴宿禰村上(おほとものすくねむらかみ)が詠んだ二首の梅の歌のうちのひとつです。
大伴村上についてはそれほど詳しいことはわかっていないようですが、天平勝宝六年(七五四)ごろには民部少丞の職にあった人物のようですね。

そんな大伴村上の詠んだ歌ですが「蕾が膨らみ始めたとあの人が言っていた梅の枝は今朝降った沫雪と競って花を咲かせただろうかなあ」と、膨らみかけていると聞いていた梅の蕾が沫雪と競うようにしてもう咲いただろうかと想像した一首となっています。
雪は本来は梅の開花を妨げるものですが、この歌の場合は雪のその白さと競うようにして梅も白い花を咲かせたかもと詠っているわけですね。

現代では梅よりも桜のほうが好まれることも多いですが、大陸文化を取り入れることを最上の風流としていた万葉時代の貴族たちにはあらたに大陸からもたらされた梅の花が非常に好まれたようです。
この歌もまた、そんな梅の開花を待ち望む心情がよく表れわれている一首のように思います。


ほころび始めた梅(春日大社神苑万葉植物園)。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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