万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰駿河麿の歌一首

霞立つ春日の里の梅の花はなに問はむとわが思はなくに

巻八(一四三八)
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霞の立つ春日野の里の梅の花よ。花だけを見ようと私は思わないのだがなあ
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この歌は大伴宿禰駿河麿(おほとものすくねするがまろ)の詠んだ一首です。
大伴駿河麿は大伴家持(おほとものやかもち)の又従兄で、家持の妻の妹である大伴坂上二嬢(おほとものさかのうへのおとをとめ)を妻にしたとも言われています。

そんな大伴駿河麿の詠んだ歌ですが「霞の立つ春日野の里の梅の花よ。花だけを見ようと私は思わないのだがなあ」と、梅の花ではなく実を見たいのだと独白した一首となっています。
つまりは、「花のみにして実の成らない恋にはしたくない」との恋心を詠っているわけです。

先にも書いたように大伴駿河麿は大伴坂上二嬢を妻にしたとも言われているので、この歌もあるいは坂上二嬢のことを念頭に置いて詠まれたものなのかも知れませんね。
そんな植物に自身の心情を託して詠んだ、この歌もまた万葉人らしい魅力のある一首のように思います。


はなに問はむとわが思はなくに…


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万葉集巻八


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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