万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰家持(やかもち)の鶯の歌一首

うち霧(き)らし雪は降りつつしかすがに吾家(わぎへ)の園に鶯(うぐひす)鳴くも

巻八(一四四一)
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空一面を霞ませて雪が降り続いているが一方ではわが家の庭に鶯が鳴いているよ
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が鶯を詠んだ一首です。
「しかすがに」は「しかし」などの逆接の接続詞。
大伴家持は大伴旅人(おほとものたびと)の子で、万葉集の編者ではないかとも言われている人物です。

そんな家持の詠んだ歌ですが「空一面を霞ませて雪が降り続いているが一方ではわが家の庭に鶯が鳴いているよ」と、空を霞ませるほどの雪が降り続いている中で一方では鶯の鳴いている情景を詠ったものとなっています。
雪の降り続く中でも確実に春が訪れていることを、鶯の鳴く声から感じ取った喜びがよく表れている一首ですよね。

万葉集巻八の歌は四季ごとに雑歌と相聞歌がほぼ年代順に収録されているようですが、後の巻八(一四四七)の大伴坂上郎女の歌が左注に「天平四年三月一日に佐保の宅(いへ)にして作れり。」とあることから、この家持の巻八(一四四一)の歌はそれ以前に詠まれたものと思われ、あるいは記録に残っている家持のもっとも初期に詠まれた歌だとも言われています。
そう思って読むと、どこか拙さの中にも若々しい才能の感じられる一首でもありますよね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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