万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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山部宿禰赤人の歌一首

恋しけば形見にせむとわが屋戸(やど)に植ゑし藤波いま咲きにけり

巻八(一四七一)
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恋しい時には形見として偲ぼうとわが家に植えた藤はいま波うって咲いたことだなあ。
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この歌は山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が藤の花を詠んだ一首です。
歌の内容は「恋しい時には形見として偲ぼうとわが家に植えた藤はいま波うって咲いたことだなあ。」と、赤人の家に植えた藤の花が波うって咲く季節になったことを喜んだ一首となっています。
上の句はその表現などから一見、女性を思っての恋歌のようにも取れますが、この歌の前後の歌がすべて霍公鳥(ほととぎす)を詠ったものであることからこれは霍公鳥が恋しくなったときの形見として藤の花を植えたのだと解釈したほうがよいのかも知れませんね。

そんな霍公鳥を偲ぶ気持ちと、家に植えた藤を愛でる奈良時代の万葉人の繊細なこころがよく表れている一首のようにも思います。


藤の花。



万葉時代の藤の花は、ノダフジかヤマフジのことだろうと思われますが、こちらは房の長いノダフジ。



こちらは房の短いヤマフジ。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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