万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大伴家持の霍公鳥の歌一首
卯(う)の花もいまだ咲かねば霍公鳥佐保(さほ)の山辺(やまへ)に来鳴き響(とよ)もす
巻八(一四七七)
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卯の花もまだ咲いていないのに霍公鳥はもう佐保の山辺にやって来て鳴き声を響かせているよ。
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この歌は大伴家持(おおとものやかもち)が霍公鳥(ほととぎす)を詠んだ一首です。
霍公鳥は夏の始めごろ、卯の花の咲く時期にやって来て鳴きはじめる渡り鳥ですが、家持はこの年、佐保の山辺でまだ卯の花の咲き出さない頃に初声を聞いたようですね。
佐保の山辺は、奈良市の鴻池運動公園のある佐保山周辺のことで、京が平城京にあったころにはこのあたりに大伴家をはじめとする貴族の邸宅が建ち並んでいたようです。
家持も佐保にある大伴家の邸宅で霍公鳥の鳴き声を聞いたのでしょう。
家持はとくに霍公鳥を好んでいたようですが、そんな霍公鳥の少し早い初声を聞いた喜びがよく表れている一首ですよね。
鴻池運動公園のある奈良市佐保山周辺。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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