万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴家持の橘の歌一首

わが屋戸(やど)の花橘の何時(いつ)しかも珠に貫(ぬ)くべくその実(み)なりなむ

巻八(一四七八)
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わが家の花橘はいつになったら玉に貫けるようなその実が成るのだろう。
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この歌は大伴家持(おおとものやかもち)が花橘(はなたちばな)を詠んだ一首です。
「花橘」は蜜柑類の花のこと。
歌の内容は「わが家の花橘はいつになったら玉に貫けるようなその実が成るのだろう。」と、橘の花が実になるのを待ち望んでいる一首となっています。
「わが屋戸(やど)の」と言っていることから、家持の住む大伴家の屋敷に橘が植えられていたのがわかりますね。

「珠(たま)に貫(ぬ)く」とは、糸を通して飾り玉や節句の薬玉などにする意味かと思われますが、万葉集の時代には丸い物には霊力が宿るとされており、この「珠に貫く」の表現はそんな霊力のある玉を身に付けたいとの広く慣用句的に使われていた表現だったのでしょう。
もっとも、家持たちの奈良時代にはそんなもとの語源は薄れて、単に「珠に貫いて飾りたい」との風流な言葉として使われていたようにも感じられますが…

そんな橘の花や実を愛でる奈良時代の万葉人の、繊細な心が感じられる一首のように思います。


花橘は蜜柑類の花のこと。



珠になった蜜柑の実。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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