万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴坂上郎女の歌一首

霍公鳥いたくな鳴きそ独り居て寝(い)の寝(ね)らえぬに聞けば苦しも

巻八(一四八四)
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霍公鳥よそんなに鳴かないでおくれ。独り寝の寂しくて眠れない夜に聞くと余計に寂しくなるよ。
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ一首です。
大伴坂上郎女は大伴家持(おほとものやかもち)や書持(ふみもち)の叔母。
歌の内容は「霍公鳥よそんなに鳴かないでおくれ。独り寝の寂しくて眠れない夜に聞くと余計に寂しくなるよ。」と、独り寝の切ない夜に聞く霍公鳥の声の寂しさを詠ったものとなっています。
「いたくな鳴きそ」の「な〜そ」は、禁止の懇願の序詞なので、霍公鳥に対して「鳴かないでくれ」と訴えかけている訳ですね。

内容的には独り寝の寂しさの中で聞く霍公鳥の声を詠ったものですが、あるいはこの歌も宴席での戯れとして即興で披露された一首だったのかも知れませんね。

霍公鳥は夜にも鳴くことでよく知られていますが、時には風流な霍公鳥の声も独り寝の切なさの中で聞けば人肌の恋しさをよりいっそう感じさせるものなのでしょう。
そんな複雑な心情を抱かせるところも、この鳥の鳴き声が万葉人に好まれた理由のひとつだったのでしょうね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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