万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴家持の霍公鳥(ほととぎす)の晩(おそ)く喧(な)くを恨(うら)みたる歌二首

わが屋戸(やど)の花橘を霍公鳥来鳴かず地(つち)に散らしてむとか

巻八(一四八六)
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わが家の橘の花を霍公鳥よ、来て鳴くこともなしに地に散らしてしまおうというのか。
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この歌は大伴家持(おほとものやかもち)が霍公鳥(ほととぎす)の飛来して鳴かないのを恨んで詠んだ二首の歌のうちのひとつです。
歌の内容は「わが家の橘の花を霍公鳥よ、来て鳴くこともなしに地に散らしてしまおうというのか。」と、霍公鳥の来訪を心待ちにするもどかしいまでの心情を詠っています。

「花橘(はなたちばな)」は蜜柑類の花のこと。
橘の花は夏の初めごろに咲いて、例年ならちょうどそのころに霍公鳥も飛来して鳴き出すのですが、この年はいつまで経ってもその声が聞こえなかったのでしょう。
「来て鳴くこともなしに(橘の花を)地に散らしてしまおうというのか。」との表現には、そんな霍公鳥の声を待ち望む家持のもどかしい気持ちがよく表れていますよね。
家持は霍公鳥をとくに好んでいたようで、あるいは夏の来るごとに毎年のようにその来訪を待ちわびて、こんなもどかしい思いをしていたのかも知れませんね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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