万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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秋の雑歌(ざふか)

崗本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製歌(おほみうた)一首


夕されば小倉(をぐら)の山に鳴く鹿は今夜(こよひ)は鳴かず寝(いね)にけらしも

巻八(一五一一)
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夕方になると小倉の山で鳴く鹿は今夜は鳴かないなあ。もう寝てしまったらしい
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この歌は崗本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製歌(おほみうた)です。
「小倉(をぐら)の山」は正確な所在は不明ですが、奈良県桜井市あたりの山でしょうか。

崗本天皇は岡本宮の天皇の意味で、高市岡本ならば舒明天皇(じよめいてんわう)のことであり、岡本なら斉明天皇(さいめいてんわう)のことですが、どちらの天皇のことなのかははっきりとしないようですね。
ただ、内容が鹿が妻恋いして鳴く歌であることから男性である舒明天皇の作の可能性が高そうではありますが…

そんな崗本天皇の詠んだ一首ですが「夕方になると小倉の山で鳴く鹿は今夜は鳴かないなあ。もう寝てしまったらしい」と、何時も夕方になると妻恋しさに鳴く鹿の声が聞こえないことからきっと妻を得て寝てしまったのだなあ、と思いを巡らせた内容となっています。

この歌から万葉集巻八は秋の雑歌の部に入るのですが、妻恋いの鹿を詠ってなんとも秋の歌の冒頭を飾るのにふさわしい一首ではありますね。


奈良県桜井市の聖林寺。
「小倉(をぐら)の山」は正確な所在は不明ですが、この聖林寺の裏山が小倉山であるとの説もあります。



聖林寺。
現在では住宅街が麓まで迫っていて鹿が出ることもまずないようですが、万葉の時代にはきっと妻恋いして鳴く鹿の声が秋の夕暮れに響き渡ったのでしょう。


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万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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