万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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穂積皇子(ほづみのみこ)の御歌二首
今朝(けさ)の朝明雁(あさけかり)が音(ね)聞きつ春日山黄葉(かすがやまもみぢ)にけらしわが情痛(こころいた)し
巻八(一五一三)
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今朝の朝明けに雁の鳴く声を聞いた。春日山はもう黄葉したことだろうと思うと心が切ないよ
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この歌は穂積皇子(ほづみのみこ)が詠んだ二首の歌のひとつです。
穂積皇子は天武天皇の皇子で、妻は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
そんな穂積皇子の詠んだ歌ですが「今朝の朝明けに雁の鳴く声を聞いた。春日山はもう黄葉したことだろうと思うと心が切ないよ」と、雁の鳴き声を聞いたことによって秋の到来を知った心情を詠った一首となっています。
「情痛(こころいた)し」とは、この場合は春日山の黄葉に恋焦がれる心情をこう表現したのでしょうね。
現代人も秋になると紅葉狩りに出かけたりしますが、穂積皇子たち万葉人もおなじように秋の情景に心惹かれたのでしょう。
万葉集でいう春日山は若草山や花山、御蓋山などの総称のこと。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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