万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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秋風の吹きにし日よりいつしかとわが待ち恋し君そ来ませる

巻八(一五二三)
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秋風が吹きはじめた日からいつだろうかと私が待ち恋うているあなたがいまこそ来てくださる
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この歌も山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)が七夕を詠んだ十二首の歌のうちのひとつです。
巻八(一五二六)の後に付けられた左注によると、この歌から巻八(一五二六)の歌までは天保二年七月八日に大宰師である大伴旅人の邸宅で詠まれたもののようですね。
七日ではなく八日なのは、おそらくは七日の日が雨で一日遅らせて旅人の邸宅で七夕を祝う宴が開かれたのでしょう。

歌の内容は「秋風が吹きはじめた日からいつだろうかと私が待ち恋うているあなたがいまこそ来てくださる」との、こちらは織女の立場に立って牽牛の来訪を歓ぶ歌となっています。
「秋風が吹きにし日」とは立秋のこと。
一年間、恋焦がれた牽牛にようやく逢える喜びを素直な表現で詠った一首ですよね。

もちろん天の川伝説をもとにした戯れ歌ではあるのですが、この歌もまた広く世の女性が恋人の来訪を待ちわびる歌としても共感できる内容であり、宴の場の人々の喝采を得たのでしょう。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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