万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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牽牛(ひこぼし)の嬬(つま)迎へ船(ぶね)漕ぎ出(づ)らし天(あま)の川原(かはら)に霧の立てるは

巻八(一五二七)
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牽牛が妻を迎える船を漕ぎ出すらしい。天の川原に霧が立っているのは
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この歌も、山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)が七夕を詠んだ十二首の歌のうちのひとつです。
ここから三首の歌には年記などが記されていませんが、あるいは大伴旅人が大宰府から奈良の京に帰った後の天平三年の七夕に憶良が独泳で詠んだものでしょうか。

歌の内容は「牽牛が妻を迎える船を漕ぎ出すらしい。天の川原に霧が立っているのは」と、天の川原に霧が立っていることから牽牛が船を出すのだと推察した一首となっています。
「妻を迎える船」とあるのは、現代の日本の七夕伝説とは逆に、中国の七夕の風習では織姫が牽牛に逢いに行くとされているからなのでしょう。

歌の主体は、作者である山上憶良自身などの牽牛や織女とは別の第三者の立場で詠まれたものですね。
そんな幻想的な霧の漂う中を、牽牛と織女を乗せた船が天の川を渡ってゆく光景が目に浮かんでくるようで、この歌もまた七夕を詠って魅力ある一首のように感じます。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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