万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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天皇(すめらみこと)の御製歌(おほみうた)二首
秋の田の穂田(ほだ)を雁(かり)が音闇(ねくら)けくに夜のほどろにも鳴き渡るかも
巻八(一五三九)
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秋の田の穂の出た田を刈り…雁がまだ暗いのに夜の明け方に鳴き渡ってゆくよ
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この歌は聖武天皇(しやうむてんわう)が詠まれた二首の御製歌のうちのひとつ。
「穂田(ほだ)」は「穂の出た田」のことで、「秋の田の穂田をかり」までが「穂田を刈り」で同音の「雁(かり)」を引き出す序詞となっています。
まあ、この歌の場合は実際に穂の出た田の上を雁が飛んで行くと解釈してくださってかまわないと思いますが…
「雁(かり)」は、マガンなどの大型の水鳥の総称で、ハクチョウよりも小さく鴨よりも大きな渡り鳥のこと。
雁は現在ではそのほとんどが新潟県や宮城県あたりの地域までしか飛来しないようですが、聖武天皇の時代には奈良の京にもよく飛来していたのでしょうか。
そんな雁を詠った天皇の御製歌ですが「秋の田の穂の出た田を刈り…雁がまだ暗いのに夜の明け方に鳴き渡ってゆくよ」と、夜明け間近の空を鳴き渡って行く雁の声を詠った一首となっています。
これは雁の鳴き声によって秋の到来を知ったという意味なわけですね。
万葉集の時代には季節は神が連れて来るものと考えられていました。
ですからこの歌も雁の鳴き声を詠うことで、秋という季節を連れて来る神の到来を祝った一首でもあるのでしょう。
奈良市法蓮町にある聖武天皇陵(佐保山南陵)。
聖武天皇は文武天皇(もんむてんわう)の皇子で、有名な東大寺の廬舎那仏造顕(大仏建立)の詔を発した天皇でもあります。
聖武天皇のお墓である佐保山南陵は、東大寺の転害門の前の佐保道を西に進んだ場所にあります。
天皇陵参道前の法蓮橋の横には一応小さいながらも駐車スペースもあります。
また聖武天皇陵の東には聖武天皇の皇后である光明皇后陵(佐保山東陵)が並んでいます。
この写真左が聖武天皇陵で、右側の道を行くと光明皇后陵。
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万葉集巻八
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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