万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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市原王の歌一首
時待ちてふりし時雨(しぐれ)の雨止みぬ明けむ朝(あした)か山のもみたむ
巻八(一五五一)
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時節を待って降った時雨は止んだ。明日の朝には山は見事に黄葉していることだろう
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この歌は市原王(いちはらのおほきみ)の詠んだ一首です。
市原王は安貴王(あきのおほきみ)の子で、春日王(かすがのおほきみ)の孫。
春日王は志貴皇子(しきのみこ)の子。
そんな市原王の詠んだ一首ですが、「時節を待って降った時雨は止んだ。明日の朝には山は見事に黄葉していることだろう」と、晩秋の通り雨によって明日の朝には山が黄葉しているだろうことを想像した内容となっています。
万葉集の歌も奈良時代になると、このように木々の黄葉を期待したりと純粋に風流を楽しむ傾向の歌が増えてきたようですね。
市原王の詠んだこの歌もまた、そんな貴族の風流な感性が感じられて興味深い一首のように思います。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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