万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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湯原王の蟋蟀(こほろぎ)の歌一首

夕月夜(ゆふづくよ)心もしのに白露の置くこの庭に蟋蟀鳴くも

巻八(一五五二)
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夕月の照る夜の心もしなえるように、白露が置くこの庭に蟋蟀が鳴いているよ
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この歌は湯原王(ゆはらのおほきみ)が蟋蟀(こほろぎ)を詠んだ一首です。
「夕月夜」は月の出ている夕暮れ時のこと。
「蟋蟀」は現在のコオロギに限定せず、コオロギやキリギリスなど広く秋の虫をいったものかと思われます。
「しのに」は「撓(しな)える」とおなじく、しなやかにたわみまがる意味ですね。

歌の内容は「夕月の照る夜の心もしなえるように、白露が置くこの庭に蟋蟀が鳴いているよ」と、秋の白露の置く夕月夜に鳴く蟋蟀の声に撓えてしまいそうになる心を詠った一首となっています。
たしかに白露の置く秋の夕暮れ時はそれだけで寂しいものですが、さらに妻を呼んで鳴く蟋蟀の声の寂しさを聞くと自身の心情とも重なって心がしなえてしまいそうにもなるのでしょうね。
そんな秋の夕月夜の寂しげな風情を詠ったなんとも魅力の一首のように感じます。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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