万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴家持の和(こた)へたる歌一首

大君(おほきみ)の三笠の山の黄葉(もみぢば)は今日の時雨(しぐれ)に散りか過ぎなむ

巻八(一五五四)
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大君の三笠の山の黄葉は今日の時雨で散り果てるだろうか
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この歌は大伴宿禰稲公(おほとものすくねいなきみ)が詠んだ先の巻八(一五五三)の歌に、甥である大伴家持(おほとものやかもち)が和して詠んだ一首です。
稲公が巻八(一五五三)の歌で「時雨が絶え間なく降るので三笠山の木々は梢まですっかり色づいてきた」と詠んだのに対して、こちらの家持の歌では「大君の三笠の山の黄葉は今日の時雨で散り果てるだろうか」と、逆に時雨によって三笠山の黄葉が散り果てたのではないかと案じた一首となっています。

「大君(おほきみ)の」はこの場合は「三笠山」にかかる枕詞。
どうもこの家持の歌は内容からして稲公の歌とは季節がずれるので、おそらくは稲公の詠んだ歌に対して数か月後に追和して詠まれたものなのでしょうね。
そんな時雨によって散ってゆくだろう三笠山の黄葉を惜しんで詠んだ晩秋の一首となっています。


奈良市にある御蓋山(写真中央)。
御蓋山は東大寺大極殿の南東、春日山の手前に存在しています。
現在ではすぐ側の若草山を三笠山とも呼びますが、万葉集の時代の三笠山は現在の御蓋山(みかさやま)のことだったようですね。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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