万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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安貴王(あきのおほきみ)の歌一首
秋立ちて幾日(いくか)もあらねばこの寝(い)ぬる朝明(あさけ)の風は手本(たもと)寒しも
巻八(一五五五)
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秋になって幾日も経っていないのにこうして寝ている朝明けの風は手本に寒く感じられることだ
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この歌は安貴王(あきのおほきみ)の詠んだ一首です。
安貴王は春日王(かすがのおほきみ)の子で、志貴皇子(しきのみこ)の孫。
市原王(いちはらのおほきみ)の父です。
そんな安貴王の詠んだ一首ですが、「秋になって幾日も経っていないのにこうして寝ている朝明けの風は手本に寒く感じられることだ」と、秋になったばかりの季節の朝明けの風を詠った内容となっています。
たしかに季節の移り変わりというのは、朝の気温にこそよく感じられるものなのかも知れませんね。
また「手本が寒い」との表現からは共寝する相手のいないことを詠っているようにも取れて、そんな秋の朝にひとり目覚めた手本の寒さを詠って季節感のよく表れている一首のように感じます。
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万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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