万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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故郷(ふるさと)の豊浦寺(とゆらでら)の尼(あま)の私房(しぼう)にして宴(うたげ)せる歌三首

明日香川行(あすかがはゆ)き廻(み)る丘(をか)の秋萩は今日降る雨に散りか過ぎなむ

右の一首は、丹比真人国人(たぢひのまひとくにひと)

巻八(一五五七)
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明日香川が流れ回る丘の秋萩は今日の雨で散ってしまうだろうか
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この歌は丹比真人国人(たぢひのまひとくにひと)が故郷である明日香の里の豊浦寺(とゆらでら)の尼の私房の宴の席で詠んだ一首。
「故郷」とあるのは、奈良に京が遷ったあとの歌だからでしょう。
つまり丹比真人国人は奈良の京から故郷の明日香にやって来て、豊浦寺を訪れたわけですね。

「豊浦寺(とゆらでら)」は明日香村の豊浦にあった蘇我稲目(そがのいなめ)創建の日本で最初の尼寺。
「私房(しぼう)」は、僧や尼たちの住む私室のこと。
題詞に「三首」とあるのは丹比真人国人が詠んだこの歌と、尼たちが詠んだ二首を合わせての意味です。

そんな故郷の明日香の豊浦寺を訪れた丹比真人国人が詠んだ一首ですが、「明日香川が流れ回る丘の秋萩は今日の雨で散ってしまうだろうか」と、豊浦寺の側の丘の秋萩に思いを馳せて詠んだ内容となっています。

豊浦寺は現在の向原寺の場所にあったとされ、甘樫丘と雷丘に挟まれたような場所に位置していました。
明日香川もその側を流れていることから、この歌の丘も甘樫丘か雷丘のどちらかのことなのでしょう。

万葉人にとって萩の花はもっとも心を惹かれた秋の花だったようで、丹比真人国人のこの歌もそんな秋萩が雨に散ってゆくのを惜しむ気持ちがよく表れた一首ですよね。


奈良県明日香村豊浦の向原寺前にあるこの歌の木製歌碑。



明日香村豊浦にある向原寺。
このお寺の場所にかつて豊浦寺があったとされ、この寺の境内から豊浦寺の伽藍の遺構も発掘されています。
(遺構は向原寺の住職さんに頼めば見学させてもらえます。)



豊浦寺の解説(向原寺)。


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万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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