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万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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吉名張(よなばり)の猪養(ゐかひ)の山に伏す鹿の嬬(つま)呼ぶ声を聞くが羨(とも)しさ

巻八(一五六一)
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吉隠の猪養の山に伏す鹿が妻を呼ぶ声を聞くと羨ましいことだなあ
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この歌は先の巻八(一五六〇)の歌と同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が跡見田庄(とみのたどころ)で詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
「吉名張(よなばり)」は奈良県桜井市吉隠(よなばり)のことで、「猪養(ゐかひ)の山」は所在不明ですが吉隠にある山のことでしょう。
このことからも跡見田庄(とみのたどころ)が吉隠の近くにあたことが想像できますね。

そんな跡見田庄を訪れていた大伴坂上郎女が詠んだ歌ですが、「吉隠の猪養の山に伏す鹿が妻を呼ぶ声を聞くと羨ましいことだなあ」と、猪養の山の鹿が妻を呼ぶ声を羨んだ一首となっています。
鹿の鳴く声は妻を得ようとして鳴く求婚の声なわけですが、つまりは男性から求婚される女性を羨んだ歌なわけですね。

まあ、大伴坂上郎女も恋多き女性で男性から求婚された経験では他の女性にも劣らなかったと思われますが、このように常に恋に敏感な心を持った彼女であったからこそ多くの男性を惹きつける魅力を持っていたのでしょう。


奈良県桜井市吉隠(よなばり)の吉隠公民館。
「猪養の山」はこのあたりの山のことでしょうか。


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万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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