万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


雲隠(くもがく)り鳴くなる雁の去(ゆ)きて居(ゐ)む秋田の穂立(ほたち)繁くし思ほゆ

巻八(一五六七)
-----------------------------------------------
雲に隠れて鳴く雁が去って行っただろう先の秋の田の穂立が繁きごとくに、心に繁く雁のことが思われるなあ
-----------------------------------------------

この歌も先の巻八(一五六六)の歌と同じく、大伴家持(おほとものやかもち)が詠んだ秋の四首の歌のうちのひとつ。

巻八(一五六六)の歌と同じく、こちらもまた気象の推移のなかに秋の風物のひとつである秋田の穂立を詠み込んだ一首となっています。

歌の内容は「雲に隠れて鳴く雁が去って行っただろう先の秋の田の穂立が繁きごとくに、心に繁く雁のことが思われるなあ」と、巻八(一五六六)の歌で詠んだ雁の行き先に思いを巡らして、その飛び去っただろう先の秋の穂立の繁きように繁く思う雁への思慕を詠っています。

「穂立(ほたち)」は稲の穂のことですが、田んぼに繁った稲を序にして自身が雁を思う心の繁る様を重ねて詠んでいるわけですね。
まあ、秋の風物を詠み込んだ連作の一首なので雁を思う歌となっていますが、一首だけで詠むと四句目までをすべて序にした女性への繁る思いを詠った恋歌とも読めて、この歌もまたなかなかに趣向を凝らした一首のようにも感じられます。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2016 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販