万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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雨隠(あまごも)り情(こころ)いぶせみ出で見れば春日(かすが)の山は色づきにけり
巻八(一五六八)
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雨に篭って心がうっとおしいので外に出て見れば春日の山が色づいているよ
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この歌も巻八(一五六六)の歌などと同じく、大伴家持(おほとものやかもち)が詠んだ秋の四首の歌のうちのひとつで 他の三首と同じく気象の推移のなかにこちらでは秋の風物のひとつである黄葉の色づく山を詠み込んでいます。
歌の内容は「雨に篭って心がうっとおしいので外に出て見れば春日の山が色づいているよ」と、長い雨が降り続いたうっとうしい気分をはらすために外に出てみたら春日山がすっかりと色づいていたとの発見を詠った一首ですね。
この一首によって巻八(一五六六)の歌からつづいた雨の日々のうっとうしさからの開放という場面転換がなされているわけです。
同時に、気分をめいらせる雨が人の心を楽しませる山の黄葉をもたらすとの変化には、どこか人の人生を重ねて見ているようにも読めますよね。
平城京跡から見た春日山。
万葉集の時代には京の東の山塊、若草山や御蓋山、花山の三峰のことを合わせて春日山と言ったようです。
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万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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