万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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黙然(もだ)をりて賢(さか)しらするは酒飲みて酔泣(ゑひなき)するになほ若(し)かずけり

巻三(三五〇)
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黙りこくって賢いふりをするのは酒を飲んで酔い泣きするのにやはり及ばないものだなあ。
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この歌も大伴旅人(おほとものたびと)の「酒を讃むるの歌」の一三首の中の一首で最後に置かれた歌。
「賢いふりをして黙り込んでいるよりも酒を飲んで酔い泣きするほうがよほどいいさ」と、これまでの「酒を讃むるの歌」一三首の中でも散々言ってきたことをここでも繰り返しているわけですが、それだけに旅人の心の中の本根がここに集約されているようなそんな気もします。
まあ、酔人がこういう発言をするときには決まって自分の周りにいる人間を暗に批判し、逆に自分自身を肯定していたりするのですが、旅人の嫌った「黙然をりて賢しらする者」とは誰のことだったのか想像してみるのも面白いかも知れませんね。

短歌というのはその時代を生きた人々の生の思いをそのまま伝えてくれるものであるだけに、時にはどんな歴史の資料よりもありありとその真実を伝えてくれることがあるように思います。
みなさんもそんな思いに耳を傾けながらもう一度この「酒を讃むるの歌」一三首を口ずさんでみて下さい。
そうすることできっと、大伴旅人という歴史上の人物が自分の目の前に蘇り酔い泣きしているような不思議な感覚がするはずです。
以上、大伴旅人の「酒を讃むるの歌」一三首でした。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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