万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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なかなかに人とあらずは酒壺(さかつぼ)に成りにてしかも酒に染(し)みなむ

巻三(三四三)
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中途半端に人間でいるよりは坂壺になって酒に染みていたいものだなあ。
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この歌も大伴旅人(おほとものたびと)の酒を讃むるの歌十三首のうちの一首。
「酒を讃むるの歌」の中ではもっとも有名な歌のひとつなので、みなさんもどこかで一度ぐらい聞いたことがあるかも知れませんね。
武門の名門、大伴家の主として征隼人持節将軍の任に就き隼人の乱の鎮圧などにも活躍した旅人。
そんな旅人も、晩年は藤原氏と旧来からの貴族・豪族の権力争いに巻き込まれて僻地である筑紫の大宰府に左遷されました。
一説によると旅人の大宰師就任は新羅との緊張が増してきた九州の地の防衛のためのものであり藤原氏の陰謀による左遷ではないともいわれますが、どちらにしても中央の政局の重要な時期に京を離れることは旅人自身にとっては非常に不本意なものだったでしょう。
事実、このすぐあとに旅人と親交の深かった長屋王が藤原四兄弟の陰謀によって失脚し殺害されてしまいます。

そんな人間同士の権力争いに心底嫌気を感じていたのでしょうか、「中途半端に人間でいるよりも坂壺になって酒に染みていたい」とはあるいは京から遠く大宰府で酒に染みている自分自身の境遇を譬えて詠ったものだったのかも知れませんね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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