万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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山上憶良臣(やまのうへのおくらのおみ)の宴(うたげ)を罷(まか)るの歌一首
憶良らは今は罷(まか)らむ子泣(な)くらむそのかの母も吾(あ)を待つらむそ
巻三(三三七)
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憶良はもう帰るといたします。子供が泣いているでしょうから。いいえその子の母も私を待っているでしょうから。
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この歌は山上憶良(やまのうへのおくら)の作で、宴の席を退出するときに詠んだ一首。
学校の授業などでも必ずと言っていいほど学ぶ歌ですので、みなさんもご存知なのではないでしょうか。
山上憶良は大伴旅人(おほとものたびと)や山部赤人(やまべのあかひと)らとともに万葉の第三期を代表する歌人で、筑紫(つくし)の国の大宰府(だざいふ)に遣わされていたこともあり大宰府の長官でもあった大伴旅人などとともに後世に筑紫(つくし)歌壇などと呼ばれる、奈良の都とは一風違った独自の歌の文化を築きました。
大宰府のある筑紫は大陸との外交の窓口でもあり新しい文化にもっとも早く触れる機会のあった土地でもあったことから、その影響を受けて独自の歌風が生まれたものと思われます。
山上憶良のこの歌も、人情派歌人とも呼ばれる憶良らしい子供や妻を気に掛けた人情味あふれる一首となっていますね。
今の世でも宴会の途中での退席は周りへの遠慮もあってなかなかし辛いものですが、このように詠われてはみな憶良を笑顔で送り帰すしかなかったことでしょう。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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