万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


久米禅師(くめのぜんじ)に、石川郎女(いしかはのいらつめ)を娉(よば)ひし時の歌五首

み薦(こも)刈る信濃(しなの)の真弓(まゆみ)わが引かば貴女(うまひと)さびていなと言はむかも

禅師

巻二(九六)
-----------------------------------------------
み薦を刈る信濃のあの弓を引くように僕が君の手を引いたなら、君は貴人らしく嫌だというだろうか。
-----------------------------------------------

この歌は久米禅師(くめのぜんじ)が石川郎女(いしかはのいらつめ)に贈った求婚の恋歌です。
「禅師」は法師のこと。
石川郎女は万葉集なの中に同名の人物が何人か出てくるのですが、この歌の人物は他の歌に出てくる郎女とは別人のようですね。
万葉の時代、求婚は夜に男が女の家を訪れる形で行われました。
この歌もそんな形で久米禅師から郎女に贈られたもの。
歌の内容としては久米禅師が弓を引く動作に掛けて郎女を口説いているわけですが、「弓を引くように君の手を引いたなら…」と言いながら実際にはまだ手を出していないところに禅師の迷いが感じられますね。
ここでは一応、「手を引く」と訳しましたが、もちろん「身体も心もすべてを引く」意味に解釈してくださってかまいません。
この二人の関係はこれまでに紹介してきた皇族同士のような特別に歴史に残る出来事というほどのものではありませんが、それゆえにこの時代の男女の恋のやりとりを知る貴重な記録にもなっているように思います。
(まあ、恋愛を記録と言っては身も蓋もありませんが…^^;)
この歌のようにいつの世も恋愛とは相手の心を推しはかりながら少しずつ距離を縮めていこうとするものなのでしょう。
以下、巻二(一〇〇)の歌まで、久米禅師と石川郎女の恋の駆け引きが続きます。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2014 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販