万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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高光(たかひか)るわが日の皇子(みこ)の万世(よろづよ)に国知らさまし島の宮はも
巻二(一七一)
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高く光るわが日の皇子が永遠に国を治めてほしかった島の宮だよ
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この歌は草壁の皇子が亡くなったことを悼み、皇子に仕えていた舎人たちが詠んだ挽歌のうちの一首です。
この歌からのち舎人たちが詠んだ二十三首の挽歌が続きますが、どの歌も皇子を失った失望感を素直な気持ちで詠み、また死者の魂を慰めようという気持ちが伝わってくるすばらしい挽歌となっています。
先にも紹介しましたが、草壁皇子は現在の島庄(石舞台のそば)にあった島の宮という離宮に住み、亡くなった後は現在の高取町にある佐田の岡に葬られました。
草壁皇子が亡くなった後も舎人たちは、島の宮の離宮や佐田の岡の墓に出仕したりしながら挽歌を詠んだようですね。
この歌では皇子亡き後、島の宮に出仕した舎人が、草壁皇子が天皇となりこの島の宮から永遠に国を治めてほしかったのにと嘆いています。
舎人(とねり)とは天皇近習の官人のことで、柿本朝臣人麿も舎人であったとする説もあり、草壁皇子を悼んで詠まれた二十三首のうち、この巻二(一七一)の歌は人麿の作という説や、もしくは二十三首すべてが人麿の作であるとする説もあります。
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万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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