万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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味酒 三輪の山 あをによし…
額田王の近江国(おふみのくに)に下りし時に作れる歌、井戸王(ゐのへのわふきみ)のすなはち和(こた)へたる歌
味酒(うまさけ) 三輪(みわ)の山 あをによし 奈良の山の 山際(ま)に い隠(かく)るまで 道の隈(くま) い積(つ)もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや
巻一(十七)
反歌:
三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなむ隠さふべしや
巻一(十八)
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味酒の三輪の山を 青土の美しい奈良の山々の間に 隠れてしまうまで何度でも 道の曲がり角ごとにしみじみと 振り返って見てゆこうと思っているこの山を 心なくも雲よどうか隠さないでいてね
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三輪山
大和盆地の東にひっそりと鎮座する三輪山。
一目見ただけでわかるその異様で神秘的な風貌の三輪山は、大名主(おほなのぬし)と呼ばれる白蛇が住む山として古事記にも有名です。
ご神体はなく山全体が神仏として崇められています。
この歌は天智天皇が都を近江に移すときに、住み慣れた大和の都を離れ、いままで自分たちを護ってくれていた三輪山のご加護からも離れていく寂しさと不安を、額田王(ぬかたのおほきみ)が詠ったものと言われています。
いまでも近江と大和は簡単には行き来できない距離ですが、万葉の時代ともなるとほとんど今の外国に移り住むほどに遠い距離に感じていたはずです。
このときの人々の不安がどれほどのものであったか想像できますね。
額田王はその不安な皆の気持ちを代表して詠うとともに、三輪山に対して、土地を離れてもどうかこれからも見護っていてほしいとの祈りの言葉を捧げているわけです。
(反歌についてはまたのちほど…)
大神神社の北、狭井神社の脇を抜けて山辺の道が通っています。
狭井神社から少し北の山辺の道沿いにこの歌の歌碑があります。
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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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