万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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采女(うねめ)の袖吹きかえす明日香風(あすかかぜ)都を遠みいたづらに吹く

巻一(五十一)
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采女の袖を明日香の風が吹きかえしているよ。いまはもう京も遠くなりむなしく吹くことだなあ。
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この歌は志貴皇子(しきのみこ)の作で、非常に有名な一首の一つです。
志貴皇子は天智天皇の子。

壬申の乱(じんしんのらん)で大海人皇子が勝利し、飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや)で即位したのち、京は藤原京へと遷されました。
この歌は京が遷されたのち、志貴皇子がかつての宮だった明日香を訪れて詠んだものです。

まあ、実際には明日香と藤原京はすぐ近く(一説には飛鳥の宮は藤原京大極殿の出来たあたりまで広がっていたとも)で、明日香の地から藤原京もすぐ目の前に見えるような位置なのですが、それでも宮(首都)ではなくなった土地というのはやはり活気がなくなり寂しさの漂うものだったのでしょう。

また以前も高市古人の歌のときに述べましたが、この時代では活気がなくなるというのはその土地の神の力が衰退したとも考えられていました。
そしてそのような場所を訪れたものはかならずこのように、その土地と土地の神を慰める歌を詠むのが慣わしでした。


伝板蓋宮跡(でんいたぶきのみやあと)こと飛鳥浄御原宮(あすかのきよみはらのみや)。


伝板蓋宮跡にあるこの歌の歌碑。



甘樫丘にもこの歌の歌碑が立っています。



甘樫丘の中腹にあるこの歌の歌碑。



甘樫丘の歌碑の解説。


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万葉集巻一の他の歌はこちらから。
万葉集巻一


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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