万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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天皇の崩(かむあが)りましし時に、婦人(をみなめ)の作れる歌一首〔姓名いまだ詳(つばひ)らかならず〕
うつせみし 神に堪(あ)へねば 離(さか)り居て 朝嘆く君 放(さか)り居て わが恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣(きぬ)ならば 脱く時もなく わが恋ふる 君そ昨(きそ)の夜(よ) 夢に見えつる
巻二(一五〇)
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現実の身では神の力には逆らえぬので、遠くあの世に離れてしまったと、朝も私の嘆く君。放れていても私の恋する君。君がもし玉ならば手に巻いて離さずに持ち、衣ならば脱ぐときもないほどに私の恋する君と、昨日の夜夢で逢えましたね。
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この歌も天智天皇が崩御された時に、婦人(をみなめ)が詠んだ一首です。
この婦人(をみなめ)については宮女のひとりであったこと以外詳しいことは分かっていませんが、これだけの歌を詠むことが出来てしかもその内容の天智天皇への想いの深さから想像するに天皇とかなり近い位置で仕えた宮女だったのでしょう。
「君がもし玉ならば手に巻いて離さずに持ち、衣ならば脱ぐときもないほどに」との表現からも、その忠誠のほどが見て取れますね。
この時代、夢うつつで亡くなった人に会うことはその人の魂がいっときあの世から側に還ってきて、その魂と出会う行為なのだと信じられていたようです。
婦人のこの歌も、天智天皇の魂に会えましたよと詠うことで、天皇の魂を慰め、また自分自身をはじめ天皇の死を悲しむ多くの人々のこころをも慰める鎮魂歌なのでしょう。
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万葉集巻二
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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