万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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藤原夫人の和(こた)へ奉れる歌一首

わが岡のおかみに言ひて落(ふ)らしめし雪のくだけし其処に散りけむ

巻二(一○四)
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あら、その雪はわが大原の神に頼んでわたしが降らせた雪なのですが、それのおこぼれがそちらにも降ったのですね。
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この歌は先の巻二(一○三)で天皇が藤原夫人に贈った歌に対して、夫人が答えて詠んだ返歌です。
先の歌で天武天皇が飛鳥宮よりも山寄りで田舎の大原の里をからかって、「そちらは田舎なので雪が降るのはもう少し後だね」と言ったのに対して、藤原夫人は「その雪は大原の「おかみ」である水の神に頼んで私が降らせたもののおこぼれですよ」と、これまたからかって返したわけですね。
いやはや、なんともほほえましくて天皇と夫人の仲のよい関係も感じさせてくれる歌ではないでしょうか。

もともと藤原一族の神である大原の「おかみ」は水を司る龍神といわれており、雪を降らせる力も持っていたと考えられていました。
そこで天皇のからかいの歌に対しての返歌として夫人がこのように返したわけですが、まさに絶妙な返歌といえるのではないでしょうか。

きっとこのように上手く返されたら天皇も自分の負けだと苦笑いしたことでしょう。


明日香村大原にある藤原鎌足誕生の地。
この地は藤原一族の本拠地であり、この里の神「おかみ」は水を司る龍神であるといわれています。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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