万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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東人(あづまびと)の荷向(のさき)の篋(はこ)の荷(に)の緒(お)にも妹(いも)は心に乗りにけるかも
禅師
巻二(一〇〇)
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東国の人が献上する初穂の箱の荷を縛る紐のようにしっかりと結ばれて、君への想いは僕の上に覆いかぶさって乗り解け落ちることなどないよ。
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この歌も巻二(九六)からつづく久米禅師(くめのぜんじ)と石川郎女(いしかはのいらつめ)が交わした相聞歌のひとつで禅師の作。
「東国の人が献上する初穂」は東国の人々が毎年十二月に神宮や陵に奉納する初穂のこと。
「その奉納の初穂の箱の紐のように、君への想いはしっかりと結ばれて解け落ちることなどないよ。」との最後の口説き文句の歌ですね^^
この後のことを語る歌や記録はありませんが、おそらく二人はこのまま結ばれたのでしょう。
巻二(九六)からこの巻二(一〇〇)の歌まで久米禅師と石川郎女の相聞歌をみてきましたが、千年以上も前のこの二人がなんだかすごく身近な存在に感じられてその恋を羨ましく思うのはきっと僕だけではないでしょう。
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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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