万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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埴安(はにやす)の池の堤(つつみ)の隠沼(こもりぬ)の行方を知らに舎人(とねり)はまとふ

巻二(二〇一)
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埴安の池の堤にかこまれた隠沼の水のように、どこへ流れていいのかも知らず舎人たちは迷っています。
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この歌も巻二(一九九)の長歌につけられた高市皇子(たけちのみこ)を偲ぶ反歌二首のうちのひとつで、柿本朝臣人麿の作の挽歌。
埴安の池は藤原京の東、香具山の西一帯を囲うようににあった池の名で、いまはもうその名残すらありません。。
舎人は天皇や皇族の近習として仕えていた人々のこと。
堤におおわれて隠れた沼の水はどこへも流れようがないように、高市皇子を喪った舎人たちは悲しみに暮れてどこへ行っていいのか迷っているとの歌意ですが、舎人たちの悲しみをも代弁したいかにも宮廷歌人の人麿らしい挽歌ですね。

高市皇子については太政大臣の位について政の実務一切を取り仕切ったほどの人物でありながらそれほど詳しいことは現在に伝わっていないようです。
ただ、この他にも檜隈女王が泣沢の女神に高市皇子の復活を祈って霊験のなかったことを恨んだ挽歌巻二(二〇二)が伝わるなど人々に愛された人物だったように想像されます。


高市皇子の墓との説もある新木山古墳(奈良県北葛城郡広陵町)。
埴安の池ではありませんが、この古墳の東側周辺は池に囲まれていて、周辺を歩いているとこの歌に詠まれている舎人たちの気持ちが今によみがえってくるような不思議な感覚がします。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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